出石そばは、国内でも珍しい白磁を中心とした焼き物「出石焼」の小皿に盛りつけた皿そばを少しずつ何枚も食べる独特のスタイルのそばです。
五枚の小皿で一組一人前として出され、わさび、とろろなど様々な薬味ととっくりに入ったダシにつけていただくのが一般的です。
数十枚の小皿を食べる人もいますが、出石では食べた皿を積み上げたときに箸を垂直に立てた高さを越えると、成人男性の一人前だと言われます。
普通のそばなら薬味はねぎ、のり、わさび、しょうがなどだと思いますが、出石皿そばの薬味には卵、とろろ、ねぎ、大根おろし、わさびなどがあります。
特に卵は鶏卵をそのまま一個ダシに溶いて(まるですき焼きの割り下のようです)食べますので、そばとしては非常に珍しい食べ方です。
出石そばだからこそ卵を溶いたダシにうまく絡み、さらにうまさが増すようです。
関西はつゆにうるさいとよく言われるようですが、出石ももちろん関西です。ですので、そば屋を営む各店はそばはもちろんダシにも大変こだわっています。
ダシを取るときは上質な素材をふんだんに使い、素材の質だけでなく独自の工夫を凝らし、それぞれの店特有の味を作り上げています。
店によって少しずつ味は違いますが、一般的には鰹と昆布のコクがあって濃厚なダシが出石そばの味だと言われています。
出石の人口は約12,000人。決して大きいとは言えない町ですが、約50軒ものそば屋が並ぶ景観には圧倒されるとことと思います。 |
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出石そばの特徴が「三たて」だということはすでに記載しておりますが、そのため「時間が経つと味が落ちる」という理由や「ゆがくのに強い火力が必要」などの理由で、出石そばを家庭で楽しむということはなかなかできませんでした。 |